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胚芽米健康講座4

 

「食事と体の栄養」

女子栄養大学栄養学部長

五明紀春教授

(「平成10年3月25日、福島市民会館にて講演」をもとに編集採録)

 

第4話

 

ビタミンB1<前編>
「アメリカの大学生を対象にした報告」
         
         
胚芽精米の持っている重要な要素の一つに、ビタミンB1があります。
これが欠乏すると脚気病になるわけですが、脚気病とはいったい何
か。ちょっと解説したいと思います。
脚気病は、裏返せば糖質の過剰症と言っていいものです。
例えば、ごはんを食べる、パン・麺を食べる、あるいは砂糖入りの清涼
飲料水を飲む。この時の糖質栄養素は、消化・吸収されて、結局、
ブドウ糖として血液中に入っていきます。
このブドウ糖が体内で代謝されて(燃えて)エネルギー源となるわけで
すが、燃えていくプロセスにおいて、完全燃焼してもらわないと困ります。
そうでないと、煤がたまるように、代謝中間体というものが体の中に
たまってくるからです。
一番困るのはピルビン酸(pyruvic acid)という中間体です。
ピルビン酸がある量を超えると、神経的なさまざまな障害を引き起こし
それが劇症でおこる場合には、心臓の神経に対して非常に有害な働き
をして、心臓マヒのような症状を引き起こす。これが脚気衝心で、戦前
、大勢の人が亡くなっています。
ピルビン酸が脳の神経に影響した場合、一種の痴呆症である脳性脚気
になります。
それよりも軽い場合には、抹消神経に障害を与えます。つまり、手足の
しびれや反射神経が鈍くなります。もっと軽い中間体の障害は、例えば
集中力がないとか、気持ちのゆとりを持って人と対することができない。
つまり人の情動を非常に左右する。ビタミンB1不足に伴う軽度の症状
として、そういうことがずいぶん前から研究されているのです。
例えば、アメリカの大学生を対象にした有名な報告があります。片方の
寮生には分からないようにビタミンB1を少し減らした食事を与え、片方
の寮生にはビタミンB1を十分与える。その上で、二つの寮生の成績、
あるいは寮内のトラブルの発生件数、そういうものを長期にわたって
観察し、比較したのです。
その結果、ビタミンB1は、人間のモラルに非常にかかわるビタミンで
あることが分かり、それ以来、ビタミンB1のニックネームは「モラルの
ビタミン」になりました。要するにビタミンB1が足りなくなると、物事に
我慢できなくなる。はやりの言葉でいえば、「切れやすい」ということ
動物の実験でも、このことを示す非常にはっきりした結果が出ています。
例えば、ねずみを5〜6匹ずつ分けてケージに入れて、片方のネズミ
にはビタミンB1を不足させ、片方のネズミにはビタミンB1を十分に与
える。そうすると、不足したネズミのほうは非常に凶暴性が出てくる。
ハトの実験でも同じようなことが観察されます。
したがって、さっき申し上げましたように、好きな場所で好きなものを
好きなだけという、勝手放題の食事の仕方をしている。そういう子ども
たちにおいて十分考えられる結果として、ビタミンB1の不足、それに
よってさまざまな問題が起きる。私は栄養学の立場からそういうふうに
解釈しています。

 

 

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